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LDシリーズとは?

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LD series : L-chair (エルチェア)

軽やかで体に優しい座り心地と開放感

 
 
「お家時間」が重視される時代において、長い時間を共にする椅子の快適さがより求められていると考えています。
そこでRADAKAGUが提案するのが、ラウンジ仕様のようなゆったり感と健康的な座り心地をコンセプトにつくられたLD(ラウンジ、ダイニング)シリーズです。
 
製作者の私自身が30年来の腰痛持ちの経験から体、特に腰への負担を軽減するべく開放感溢れるデザインを追求したシリーズで、アームチェア、ダイニングチェア、スツールの3タイプを予定しています。
第1段となるシリーズを象徴するモデル「L-chair」(エルチェア)を例に見ていきましょう。

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まず目を引くのがペーパーコードの座面、日本に古くから伝わる「鹿の子編み」という強度に優れた技法で編んでおります。
編むのに座面と背もたれ合わせて8時間ほどの時間を要する工程ですが、長時間座ってても蒸れずにズレにくい、特筆すべきは座る人の臀部に合わせて形状が変化する、本シリーズにとって理想的な素材であり技法です。
またL-chairのみですが、座面と背もたれでは加重、力の掛かるベクトルが異なるため編み方とテンション(張り具合)を若干変えています。

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神輿の土台に乗せたような座面に、左右のアームレストから材1本分の隙間をつくる事でサイズ以上に広々とし、ペーパーコードによる通気性の良さも開放感に一役買っています。
座面の前部はゆるいカーブの3次曲面になっており、着座時のもも裏への負担を最小限に抑えます。

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浅く座っても深く腰掛けても同じように受け止めるゆるいカーブの背もたれ。左右両端から中央へいくにつれわずかにハングしているので、もたれた時に背筋から背骨へと優しく触れる形状になってます。
座面は前後方向に対して水平に設置され、座った際に後方へかけて僅かに沈みこむ程度なので腰への負担を軽減します。

工夫と配慮が散りばめられた日常での使い勝手

 
 
 
水平ではなくわずかに内側にかけて曲面になっているアームレスト。腕を置いた時のあたりが優しく、手で触れると滑らかな木肌を感じ取れます。
 

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普段使いの中で動かす際にこの「すり足」もしくは「畳ずり」と呼ばれる構造が威力を発揮します。3本ないし4本脚の椅子は持ち上げて動かしますが、畳ずりであれば引きずって動かせるため使い勝手も良く、接地面が点ではなく線のため床への負担を軽減します。
小さな配慮ではありますが前後の先端を若干浮かせることで、動かす際に床を傷つないようにする工夫もポイントの1つです。

モダンの中に温かみを含ませたデザイン

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「線」の美しさを引き立たせるために部材同士の「間」に細心の注意を払い、テーパー(先細り)加工をせず直線のまま組み上げることで、モダンな繊細さの中にどこか無骨さや温かみを感じさせるデザインに仕上げました。
基本的には面(ツラ)を合わせて(接着面の段差をなくして)ますが、真横からみて「日」の字の中央部分だけわずかにずらしています。これが平面的になりがちな印象に立体感を加えてます。

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背もたれの裏側にあるアーチ型にくり抜いた部分は、デザイン的なアクセントだけでなく動かす際に手を掛けやすくしてます。
また使用している北海道産のタモ材は、ラケットやバットに使われるほど固くて粘りがあり、グレー味を帯びた明るい褐色と素直な木目は和室、洋室どちらにも合わせやすい樹種で、デンマーク産ペーパーコードとの相性も抜群です。

堅実なつくりと、丹念な仕上げ作業

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細い部材から充分な強度を得るため、ほとんどの箇所を「ほぞ接ぎ」という古来からの工法によって組まれています。
設計段階の時点で幅のある部材を使って強度を出すことも考えましたが、例えば両端をつなぐ貫や座面の枠組みなどを太くすると、どうしてもデザインが崩れテーマがブレてしまいました。そのため細身のまま強度を得る試みを繰り返した末、実用に耐えうる牢堅なつくりになっています。

 
 
鉋できっちりと平面を出し、電動工具ではなく手作業でのヤスリ掛けを入念に行いオイルフィニッシュする事で、ずっと触っていたくなるような手触りの良い木肌に仕上げています。
当然、鉋掛けや研磨作業は何度となく手で表面の状態を確認しながら行います。

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使用しているオイルはGRASSE TOKYO さんの「BEESWAX OIL 」。独自の技術で米ぬかを配合した商品で、蜜蝋特有の匂いがなくサラサラとした質感ながら滑らかさもある仕上がりになるので、普段から愛用させていただいているオイルです。
 
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